『COCOLORS』(コカラス)は、(有)神風動画制作のオリジナル中編アニメーション作品です。2015年のPV制作に始まり、翌2016年に本編が制作された後、国際映画祭での評価を受けて2017年12月より東京、名古屋、大阪、徳島で劇場公開されました。本作のCGアニメーション監督を務め、自身として初の劇場アニメーション制作となりました。
制作スタジオは、当時西早稲田(現在は東中野)に新設された神風動画弐式スタジオ。監督をはじめ、新人・若手主体のフリーランススタッフ達と、CG/デジタル作画/制作部の少数社員スタッフで協力し制作しました。映像本編の制作期間は、2016年1月〜9月の9ヶ月と、音楽・音響制作後の微調整期間を合わせて約1年間です。コンテ・演出から、モデリング/リギング/レイアウト/アニメーション/レンダリング/セル出力(仕上げ・特効)の各3DCG工程と、撮影までのほとんど全ての作業が内製で行われました。小さなスタジオでスタートした作品作りが、イベント上映や国際映画祭への出品などの長い道のりを経て劇場公開へと辿り着くこととなりました。
本作への評価は海外で口火が切られました。2017年にカナダのモントリオールで開催された、第21回ファンタジア国際映画祭での上映と、今敏賞(最優秀アニメーション賞:Axis部門)の受賞を成し遂げ、その後も複数の国際映画祭への出品・招待上映へと続いていきました。一方、国内では2018年に六本木国立新美術館で開催された第21回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門において、大作の劇場作品や商業作品と肩を並べ優秀賞を受賞。同時に、エンターテインメント部門においては、「声優の演技と劇伴演奏を映像に合わせてLIVEで行う上映」が審査員推薦作品にも選出されました。また、この上映形態はVFX JAPANアワードにおいても先導的視覚効果部門で優秀賞を受賞しました。
特に多くの反響をいただいた下北沢トリウッドでの2018年ロングラン上映と2019年の再上映は、劇場鑑賞のみの本作にとって大きな支えとなっていました。その後も再上映の機会に恵まれ続け、2020年12月ついにBDの発売を迎え、発売記念となる追加上映も下北沢トリウッドで行われることとなりました。
特に注目が集まった作品の世界観は3つの要素がベースとなっています。
有機的なスクラップ・デザインに満たされた「スチームパンクの感性」、作品のテーマやセルアニメーション制作工程と関わりの深い「日本の木版画を踏襲した質感表現」、そしてマスクで覆われた「表情のないキャラクター達」。こうしたポイントを組み合わせながら独特な設定が起こされていきました。
舞台となるのは、白い灰に覆われ荒廃した地上と、生活圏である暗い地下街のある世界。
それらは緻密な背景原図の存在感を際立たせた背景美術により表現されています。圧倒的な描線と、淡さと重厚さの共存する色彩が画面を埋め尽くし、常に作品世界を強固にしています。
併せて、登場するキャラクターは全て3DCGで全編描画されています。
背景/描線と一体となるような質感を帯びて、辛く切ない日常や大賑わいの祭りの風景で躍動し、激情し、心の物語を紡ぎます。
あらすじ -
延々と降り続く灰が、空と地上を覆ってしまった世界。人体を融解させるというバクテリアを含んだ、その有害な灰を吸い込まぬよう、人々は巨大なマスクと防護服で全身を覆い、地下深くに作られた街で暮らしていた。
しかし、灰はしだいにその街をも侵食していき、やがて人々は絶望に飲まれていく。
そんな世界に暮らす少年、アキとフユ。世界を空想し、未だ見たことのない空に憧れを抱いていた。
やがて外の世界の現実を知る時、成長した少年達は何を思うのか。
受賞歴
- 第21回文化庁メディア芸術祭(日本) / アニメーション部門 優秀賞 | 西久保 瑞穂氏 贈賞コメント
/ エンターテインメント部門 審査員推薦作品
- 第21回ファンタジア国際映画祭(カナダ) / 今敏賞 (Axis部門 最優秀アニメーション賞)
- 第4回Other World Austin SF映画祭(アメリカ) / 優秀音楽賞 / 優秀デザイン賞
- VFX JAPAN アワード2018(日本) / 先導的視覚効果部門 優秀賞
上映歴
- 2016年10月 眉山山頂ステージ マチ★アソビvol.17 / 日本・徳島 (スペシャルコラボLIVE)
- 2017年 2月 新宿バルト9 / 日本・東京 (スペシャルコラボLIVE)
- 2017年 4月 ufotable CINEMA マチ★アソビvol.18 / 日本・徳島 (以降は完全版の上映)
- 2017年 7月 第21回ファンタジア国際映画祭 / カナダ・モントリオール
- 2017年10月 第9回リアニマニアエレバン国際アニメーション映画祭 / アルメニア・エレバン
- 2017年10月 50th Sitges Film Festival / スペイン・シッチェス
- 2017年11月 18th San Diego Asian Film Festival / アメリカ・カリフォルニア
- 2017年12月 下北沢トリウッド / 日本・東京 (翌年4月上旬までのロングラン上映)
- 2017年12月 第2回ソチ国際映画祭 / ロシア・ソチ
- 2018年 1月 4th Other Worlds Austin SF Film Festival / アメリカ・テキサス
- 2018年 3月 名古屋シネマスコーレ / 日本・愛知
- 2018年 3月 シアターセブン / 日本・大阪
- 2018年 4月 ufotable CINEMA マチ★アソビvol.20 / 日本・徳島
- 2018年 5月 49sh Nashville Film Festival / アメリカ・テネシー
- 2019年 8月 下北沢トリウッド / 日本・東京 (〈夏のアニメ三昧2019〉)
- 2019年12月 大須シネマ / 日本・愛知
- 2020年 11月 下北沢トリウッド / 日本・東京 (リバイバル上映)
- 2020年 12月 下北沢トリウッド / 日本・東京 (BD発売記念上映)
- 2021年 2月 シアターセブン / 日本・大阪 (BD発売記念上映)
- 2021年 4月 大須シネマ / 日本・愛知 (BD発売記念上映)
- 2021年 10月 シネマ映画.com / 配信 (初オンライン上映)
- 2022年 1月 下北沢トリウッド / 日本・東京 (〈冬のアニメ三昧2022〉)
CAST
アキ 高田 憂希
フユ 秦 佐和子
シュウ 岩中 睦樹
ギドク てらそま まさき
ヤキン 亀井 芳子
チボ 中澤 やよい
(子供時代)
アキ 石井 あめり
フユ 岩田 龍門
シュウ 徐 斌
ヤキン 古賀 瑠
チボ 池杉 奏汰
マトイ/ヤマテ 加藤 央睦
STAFF
[脚本・コンテ・演出・監督]
横嶋 俊久
[キャラクターデザイン]
鈴木 理
[世界観設計]
橋口 コウジ
[造形美術]
鎌田 光司
[CGアニメーション監督]
石黒 英彦
[美術監督]
末弘 由一
[撮影監督]
上遠野 学
[編集]
廣瀬 清志 (エディッツ)
[音楽監督]
阿部 隆大
[音響監督]
納谷 僚介
[音響効果]
野崎 博樹(ちゅらサウンド)
[CGアニメーション]
中島 悠喜 石内 健 長屋 かおり
東 大貴 齋藤 広樹 田村 大悟
高橋 真樹 野津 里美
永田 奏 大石 直人 石黒 英彦
[CGモデリング]
石内 健 吉田 俊介 長屋 かおり
成田 優姫 持田 寛太 大石 直人
[プロップデザイン]
桟敷 大祐 成田 優姫 加藤 汐里
吉田 俊介 石内 健
[背景原図]
橋口 コウジ 曽野 由大 真村 曜
松尾 藍助
[背景美術]
スタジオラグラス 岩原 史織 野崎 佳津
末弘由一
[撮影/質感設計]
吉田 俊介 東 大貴 野津 里美
横嶋 俊久 上遠野 学
[エフェクト作画]
朝倉 竜也 山腰 蒔 斉藤 拓也
吉邊 尚希
[DCテクニカルアドバイザー]
城戸 考夫
[オープニングタイトル]
東 大貴 山腰 蒔 加曾利 彩
東 大貴 山腰 蒔 加曾利 彩
[タイトルロゴデザイン]
箱崎 桂一郎
[フユの絵]
ハタヤマ マサオ
[エンディングテーマ]
「cocolo」
歌:Uyu
作・編曲:COCOLORS SOUND TEAM
[挿入歌]
「colors」
歌・作詞:Ryu Miho
作・編曲:阿部 隆大
[楽曲制作]
COCOLORS SOUND TEAM
阿部 隆大 持山 翔子 小山 尚希 野崎 心平 栗林 すみれ 工藤 明
[録音/編集]
岡本 慎太郎(Studio Bloom)
[録音/調整]
岡部 直紀
[録音助手]
荻野 数貴 鈴木 修二(東京テレビセンター)
[制作管理]
藤原 滉平
[アニメーションプロデューサー]
清水 一達
[プロデューサー]
水崎淳平
[アニメーション制作]
神風動画 弐式スタジオ
[製作]
神風動画
掲載協力:kamikazedouga
作品関連書籍
COCOLORS背景原図集(ANPP)
COCOLORS美術画集(Aniko)